太田市美術館・図書館 ART MUSEUM & LIBRARY, OTA
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太田フォトスケッチvol.6 ワークショップ「あなたの話を聴かせてください」

2024年6月22日(土)・6月29日(土)

土屋貴哉《unnamed(固有名詞を持たぬ者たち)》2020年
インスタレーション、カッティングシート
「ちくごアートファーム計画2020 旅と恋愛」(九州芸文館、2020年)
撮影:長野聡史

太田で暮らした あなたの物語が 展覧会をつくる

 

太田フォトスケッチは、「カメラを通し、太田のまちを新たな視点で再発見する」ことを目的に、これまで様々なテーマを設定し、公募で集められた市民による写真と、ゲスト写真家が太田で撮影した写真をともに展示することで、複数の視点から太田の魅力を見つめ直す展覧会として実施してきました。
第6回となる本展では、新たな試みとして、写真家ではなく現代美術家の土屋貴哉を迎え、市民の皆さんと2日間にわたってワークショップを実施し、そこで生み出された写真と言葉で展覧会を構成します。
土屋が考案したテーマは、「他人にはまったく意味を持たないかもしれない、けれどあなたにとっては切実な意味を持つ何か(以下「それ」)」。ワークショップに参加し、本テーマに取り組むことは、これまでの太田で暮らしてきた記憶を頼りに、「それ」とあなたの関係を改めて見つめ直す機会になるかもしれません。ワークショップには、より深く「それ」について考え、そして語るために、心理学者の村久保雅孝も加わります。
みなさんによって手繰り寄せられた「それ」が総体となって、太田の人の営みを描き出す展覧会として立ち上がるとき、「それ」らが新たな意味を誰かに投げかけるかもしれません。

ワークショップ概要

講師:土屋貴哉(現代美術家)、村久保雅孝(心理学者)
日時:2024年6月22日(土)午後2時〜4時、6月29日(土)午後2時〜5時の2日間
会場:太田市美術館・図書館 3階視聴覚ホール
定員:30人 ※定員を超えたら抽選
対象:現在または過去において在住・在勤・在学など、太田市に関わりのある方。高校生以上。
参加料:無料
使用言語:日英対応可能です。英語の通訳が必要な方は、お申込の際に明記してください。
  ワークショップは日本語で行いますが、通訳が必要な方はお申込の際に希望する言語を選択してください。(4月4日更新)
条件:両日参加必須。
ワークショップで参加者が制作した写真およびテキストは、土屋貴哉および当館が考えた展示プランのもと、太田フォトスケッチvol.6(以下、「本展覧会」)に展示されます。
ワークショップの様子は写真・動画で記録され、記録写真および動画は本展覧会と広報で使用します。
ワークショップで使用するカメラは、当館が用意するレンズ付フィルムです。私物のカメラのご使用はご遠慮ください。

申込方法
下記のお申し込みフォームに、参加者氏名(ふりがな)、年齢、性別、住所、電話番号(あれば携帯)、メールアドレス、太田在住・在勤・在学歴、使用言語、応募動機を入力のうえ、送信してください。
募集期間:2024年6月1日(土)まで

お申し込みフォーム(受付は終了いたしました)

※お申込された方は、当館から確認のメールが送信されます。
「event_museum@artmuseumlibraryota.jp」が受信できるよう設定をお願いします。

ワークショップ取り組み内容
このワークショップでは皆さん一人一人に、写真撮影と文章作成そして音声録音、つまり画像、文字、音声、3種の断片の組み合わせによる表現に取り組んでもらいます。3つの断片としてすくいとどめてもらうのは太田での記憶。あなたの太田での暮らしにまつわる記憶です。この取り組みには熟練の技術や能力は必要ありません、ですから失敗もありません。そのすくいとどめた3つの断片が交わった時、自然とそれはひとつの物語(作品)となるでしょう。

◎テーマ他人には全く意味を持たないかもしれない、けれどあなたにとっては切実な意味を持つ何か」
他人には全く意味を持たない(かもしれない)。けれどあなたにとっては特別なことがら(以下【それ】)。【それ】はとても個人的な経験に基づき、あなたの記憶に濃く染み込まれた感覚的で主観的なことがら。今となってはとるに足らない。或いは思い返すと頬が緩む。けどちょっとだけセンチメンタルな。或いは強迫観念のような。または傷のようなものかもしれません。あなたの太田での暮らしの記憶・記録を頼りに振り返り、あなたの特別で大切な【それ】にまつわる感情・感覚を久々に引き寄せ、再度自身にとどめ直してみましょう。

◎【それ】にまつわる3つの断片
・文字:あなたの【それ】にまつわる文章を作成してみる
・画像:あなたの【それ】にまつわる何か(もの・場所・状況、等)を記録撮影してみる
・音声:作成した文章を自身で音読し音声を録音してみる

◎アーティストとして、あなたの作品が美術館に展示公開される
ワークショップでの参加者の成果物は、土屋貴哉と当館の展示プロデュースのもと、参加者の個々の制作による「美術作品」として当館企画展の太田フォトスケッチvol.6にて展示一般公開されます。参加者は同展にて「アーティスト」として氏名が公表されます。

展覧会情報

太田フォトスケッチvol.6
2024年11月23日(土祝)~2025年1月26日(日)予定
詳細はこちら

講師プロフィール

 ■土屋 貴哉(つちや たかよし)
1974年、東京都生まれ。佐賀大学芸術地域デザイン学部教授。90年代より、日常を支えるシステムや物にシンプルな方法で介入し、知覚に揺さぶりを起こす作品を、映像、写真、平面、立体、言語、インスタレーション、プログラミングなど、多メディアにわたって発表している。「響きあうアート―美の拡がり、美術の拡がり―」(佐賀大学美術館、2023年)では、村久保雅孝とコラボレーションした。近年の主な展示に、「KAATアトリウム映像プロジェクトvol.24, 25 土屋貴哉」(神奈川芸術劇場、2023年)、「ちくごアートファーム計画2020 旅と恋愛」(九州芸文館、2020年)、「1974 第1部 1974年ニ生マレテ」(群馬県立近代美術館、2014年)、「国際メディアアート展 FILE SP」(Contro Cultural FIRSP、サンパウロ、2014年)。

 

■村久保 雅孝(むらくぼ まさたか)
1959年、熊本県生まれの福岡育ち。佐賀大学医学部准教授。専門は臨床心理学。臨床心理士であり公認心理師でもある。実践や研究では、その人の目線や体験を拠り所にしている。主観の世界や個々の物語を重視しており、「なぜ」を問うことより「どのように」というところに関心を向け取り組んでいる。「響きあうアート―美の拡がり、美術の拡がり―」を機に、土屋貴哉に遭遇。『パーソンセンタード・アプローチの挑戦 現代を生きるエンカウンターの実際』(創元社、2011年)を編著。『パーソンセンタード・アプローチとオープンダイアローグ—対話・つながり・共に生きる』(遠見書房、2023年)、『エンカウンター・グループの新展開』(木立の文庫、2020年)等分担執筆多数。

テーマ「他人にはまったく意味を持たないかもしれない、
けれどあなたにとっては切実な意味を持つ何か(以下「それ」)」について、
講師からのメッセージ

 わたしにとっての「それ」の一つは、新幹線車両の乗降口の脇にある行き先が示された小窓です。「新大阪」とか「博多」とか書いてありますね。40年以上も前、少なからず望郷の思いを抱えていた私は、他用で東京駅の在来線ホームにいてふと見上げると、そこは新幹線のホームでした。そして、その車両の行先に「博多」とありました。その頃、博多までは7時間以上かかったでしょう。でも、私の気持ちはあっという間に故郷の博多につながりました。この列車は博多につながっているという実感が、私の望郷の思いをほのかに明るくしてくれたのでした。
 この企画に関心を持って下さった方々のそれぞれの太田との物語がどのように生み出され、紡がれていくのか、私たちにできることは限られていますが、精一杯のお手伝いをしたいと思っています。

村久保雅孝

 

 少しだけわたしの話をします。それは古くて少し特別な記憶です。社宅住まいの我が家のリビングでのこと。その日わたしは母に連れられ、幼稚園へ兄を迎えに自宅をお昼前に出ました。戻ったのはきっと午後1時半を少し回った頃だったでしょう。
・・・・・
 園のカバンを下ろし、制服を脱ぎ着替える兄、それを手伝う母。リビングの端で、ベランダを背に窓際の床に座わらされ、その様子を傍観するわたし。

 お昼ご飯、チャーハンでいいよね。母の言葉にわたしも兄も返答するでもなく、母も返答を待つでもなく。リビングに面した台所から炒める音が聞こえる。開いたカーテンから差し込む光の方へ、わたしは少しだけ身体の向きを変える。眩しさに眉間にシワを寄せる。兄との会話はないまま。

 刻んだピーマンとソーセージが入っている。チャーハンとはそう言うもの。その日もその通りだった。わたしは完食せずに残す。焦げ茶色の箪笥の上、小型の赤いフリップ時計に目をやる。続けざまに、今日は何曜日? とふたりに尋ねる。

 火曜日、午後2時、社宅のリビング、窓際の日差し、チャーハン、焦げ茶色の箪笥、小型の赤いフリップ時計。記憶にとどめるにはとるに足らない。印象的な出来事など何もない。ただそれだけのこと。
・・・・・
 幼い私は、この昼間を記憶にとどめてみよう、その時瞬間的にそう決めたのです。とどめると決めたその感覚は今でも鮮明です。とどめる物事は何でもよかったのです。それは記憶に残ったではなく、記憶にとどめようという決意の記憶。そんな特別な記憶です。
 主観的なことほど、それを流麗に明快に説明し伝え共有しようと思えば思うほど、何故かそこから遠ざかってしまうことが私にはよくあります。流麗さや明快さ、そして伝えたいと言う思いが邪魔をするのかもしれません。曖昧さやぎこちなさ、そんなボヤけた私たちの姿を少し味わってみませんか。あなたの話も聴かせてください。

土屋貴哉

参考作品

 
土屋貴哉《unnamed(固有名詞を持たぬ者たち)》2020年
 インスタレーション、カッティングシート
「ちくごアートファーム計画2020 旅と恋愛」(九州芸文館、2020年)
 撮影:長野聡史

土屋貴哉《Fly》2021年
ラムダプリント、アクリル

 


土屋貴哉《I remember you.》2020年
メディアインスタレーション
「ちくごアートファーム計画2020 旅と恋愛」(九州芸文館、2020年)
撮影:長野聡史

 

土屋貴哉《Double Splash》2011年
映像作品(16分)

土屋貴哉《twelve cowbells》2016年
 映像作品(12分19秒)

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